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日付 2006/07/11 18:10
 
タイトル ロングテールの真相(羊)
 
カテゴリ
マーケティング戦略論
 

上梓されたばかり、クリスの「The Long Tail」が順調に売れている。本国ではアマゾンのトップ・セラーズで25位(7月11日)にランクされている。改めて中身をチェックしてみると、いくつかの発見もあったのでQ&Aでおさらいしてみたい。

Q:ショート・ヘッドとロング・テールの境は?

A:フィジカル・リテイラー(実店舗)に在庫のある商品、書籍でいえば、典型的なバーンズ・アンド・ノーブルの店舗にある10万タイトルをショート・ヘッドと呼ぶ。それ以外の商品、たとえばアマゾンのサイトで紹介されている360万タイトルほどの書籍をロング・テールと呼ぶ。クリスの定義は明快です。よく言われる全体の8割(二八の法則)というような曖昧なものではない。

Q:ロングテールは限りなく長いのか?

A:限りなくとは言葉の綾だが、どれだけ長いかは小売の業態によって2つに分かれる。一つはハイブリッド・リテイラー。たとえば書籍販売のアマゾン。有形の商品(パッケージ・ソフト含む)を扱う。たいていはオンライン・ショップである。もう一つはピュア・デジタル・リテイラー。たとえば音楽販売のラプソディ。ユーザーはデジタル・データをダウンロードして購入する。オンライン以外では見当たらない。アマゾンでは、たとえ在庫をどこかに押し付けても、リアル店舗である限り物理的な壁は超えられない。ところが、ピュア・デジタルならまず制限はない。事実、ラプソディが扱う曲の数は、2004年の150万曲から倍近くに増えている。

Q:ロングテールの売上シェアは?

A:クリスの記事(Wired Magazine 2004.10.24)とともに、ロングテール・エコノミクスがセンセーションを巻き起こしたのは「アマゾンの売上の半分以上(57%)がロングテールによるものである」という誤報だった。アマゾン(米)でのロングテールの寄与はせいぜい25%である。アマゾンが正確な数字を公表していないのであくまで推測にしか過ぎないが。これが、ピュア・デジタルになると様相は一変する。クリスのデータによれば、ラプソディでは、売上の40%はロングテールであげている。

Q:ロングテール・ビジネスが成立する条件は?
A:クリスの本では2つの秘密しか明かされていない。1)商品情報(すべてを見えるようにしなさい) 2)検索(探すのを手伝ってあげなさい)の2つである。ところで、クリスは1)2)にかかる費用は限りなく小さいと(暗黙のうちに)仮定している。しかし、ハイブリッドであろうがピュア・デジタルであろうが、小売は小売である。限界は超えられない。羊の文脈で言えばそれは 3)販管費 を加えることである。販管費が粗利を上回ればビジネスは成り立たない。販管費には1)商品情報にかかる費用も含まれる。2)検索にかかるコストも当然含まれていて、検索エンジンからの解放は重要な戦略的課題であることは前回述べた。

余禄:米アマゾンでは、全370万タイトルのうちおよそ200万タイトル、少なく見積もっても150万タイトルが1冊しか売れてない商品とみられている(1冊も売れない本はない)。さて、アマゾンの販管費率は12%程度である。これらの書籍の平均単価2000円とすれば、1タイトルあたり240円となる。かなり乱暴な近似ではあるが、ロングテール商品の注文処理費用はほとんどゼロとみなせるので、この数字は1タイトルあたりのウェブ・サイトでの紹介費用の上限を示していると考えられる。

本日の知恵のネットワークス:


The Long Tail: Why the Future of Business is Selling Less of More
Chris Anderson (著)



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投稿者 CMO
 
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