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日付 2006/07/19 10:36
 
タイトル インフルエンサー・マーケティングの勘違い(羊)
 
カテゴリ
マーケティングの実際
 

「世界最大級の広告事業会社の米オムニコグループはネット上で強い影響力を持つ専門家や個人を狙った新しいマーケティング事業を日本で始める。企業活動を支援するために、ネット上の有力者向けに問題提起や情報提供をして、ネット上の「口コミ」を通じて消費者が商品購入する際の情報発信を促す」(日経 2006.07.17)ということで、「インフルエンサー・マーケティング」である。同記事によれば「企業の直接的な広告に比べ、消費者が意見を受け入れやすいメリットがある」ということだが、はたしてそうだろうか。

すでに指摘した通り「口コミ商法」は「ブログで難破」しかけている(拙稿)。商品情報を含まない「口コミ」情報はノイズにすぎないということが理解できていないからだが、これが「インフルエンサー」となると、「企業が開発した新しい商品やサービスに関心を持ってもらう。その上で第三者の立場から消費者の判断に役立つような意見や情報の発信を促す」ということで、さすがに俗流口コミ商法とは差別化できているようだ。しかし、この手法が「新たな価値判断を提供する」と考えるのは勘違いだし、手法自体も新しくもなんともない。

この手の手法ですぐ思い浮かぶのは映画産業だ。評論家や一般客を招いての試写会は日常茶飯事だし、マスコミへのネタ・リークやブログでちら見せ、出版の巻き込み(ノベライズ)など、メディアを駆使したインフルエンス・ウィルスの撒き散らしはクロスメディア・マーケティングのお手本ともいえる。グルメ産業もこれに続く。ミシュランのガイドブックはインフルエンサーの極致だし、「じぶん日記」みたいな個人の趣味ではじめたグルメ日記が影響力を持ったりもする。出版では「暮らしの手帳」は(わが国では)インフルエンサーの草分けだし、通販業界では「通販生活」が、まさに「第三者の立場から消費者の判断に役立つような意見や情報の発信を促す」という、しかもその第三者にしばしば著名人(たとえば木の実ナナ)を起用するという、巧妙な説得術で成功している。

通販生活を主宰する斉藤駿は、「小売の説得術」という著作の中で、説得についての方法論を次のようにまとめてみせた。

1)語りかける自分をどうしたら信用してもらえるのか。
2)見えない相手をどうしたら見えるようにとらえられるのか。
3)相手の心をゆり動かすことば(と写真)はどうしたら生み出せるのか。
説得技術の基本は、さしずめ、この三点だ。

インフルエンサー・マーケティングとはつづめていえば1)についての一手法にすぎない。斎藤さんは小売(ダイレクト・マーケティング)の人なので、文中の「自分」は文字通り「自分」のはずだが、その斎藤さんでも「自分」のかわりに「善意の第三者(しばしば著名人)」を持ってくる。まして「企業」となるとはなから信用してもらえないので、「インフルエンサー」を呼んでくる。これが大きな勘違いだ。正解は

1)語りかける「企業」をどうしたら信用してもらえるのか

以外にありえない。

本日の知恵のネットワークス:
小売の説得術―モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション (単行本) 斎藤 駿
註:ユーズド価格¥3,700よりのプレミアムつき!


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投稿者 CMO
 
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