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日付 2007/04/17 15:50
 
タイトル 意外にまともな「クチコミの技術」(羊)
 
カテゴリ
マーケティングの実際
 

「満足した顧客は最高のセールスマン」。これが口コミ商法の第一条でありすべてである。例外はない。修正条項もない。「満足した」とは「商品についての知識」についての形容であり、すなわち「商品情報」についての言及である。羊の第一公理を思い出そう。情報のないメッセージは伝わらない。商品情報を含まない「口コミ」情報はノイズにすぎない。
- 口コミ商法、ブログで難破(羊)

2006年アルファ・ブロガー第1位コグレマサト(「ネタフル」運営)とクチコミの伝道師いしたにまさき(「みたいもん」運営)のお二人が鳴り物入りで売り出した「クチコミの技術」も、この範疇からは逃れられない。ということで、帯文の「ブログ・マーケティングを伝授」に眉唾しながら批判的に読み始めた「クチコミの技術」(日経BP社)ではあったが、これは意外にまともな入門書であった。彼らの「まともさ」は、たとえば次のような箇所を読めばかる。

クチコミには、「自然に起こったもの」と「企業が仕掛けて起こしたもの」の2種類があるといえます。後者の事例も多くあるため、クチコミは「狙って仕掛けられる」と勘違いされがちです。(略)
ちょっと考えればわかることですが、商品やサービスが“いいもの”でないとクチコミは起こりません。自分が買ったり試したりしたものを「誰かに伝えたい」と思わなければ、そもそもクチコミは起こらないからです。
- 同書「第5章 事例に学ぶクチコミのネタ」

勘違い組といえば、「口コミ商法 ブログで進化」(日経MJ 2006.4.14)の天野賢一さんとか「ファンサイト・マーケティング」で売り出した日野佳恵子さん(ハーストーリー代表)とかオムニコ・グループの「インフルエンサー・マーケティング」などがそれにあたるだろう。仕掛ければ叶うと信じるのは勝手だが、だからといって、ブログを操ってもヒット商品が生まれるわけではない。

羊をめぐるマーケティングの出発点は、1)消費者に理解できる情報を届けること 2)届けるコストは最小限におさえること。この2つであった。「クチコミの技術」は1)についての実践の書であるとも言える。彼らが指摘するポイントは7つある。

1) 担当者が自分の言葉で語る
2) 頻繁に更新する
3) コメントやトラックバックを受け付ける
4) ブログを通じて会話する
5) 質の高い製品やサービスを扱う
6) ストーリーを提供する
7) ネタを提供する
- 同書「第2章 ブログのクチコミパワー」

と、ここまでは順調な「クチコミの技術」であるが、やはりというか、費用対効果についての考察は弱い。効果測定についてまるまる一章を割いているところから見て、やってることはやってるのだが、その締めが

クチコミの効果を評価する上で気をつけなければならないのは、とにかく短期的な評価をくだしてはならないということです。
- 同書「第3章 クチコミの効果測定について」

とは、いかがなものか。短期的な評価とはページビューとかリファラーの数とかでくだされるものらしいが、これもおかしな話だ。短期的であろうが中長期であろうが、マーケティングの評価は「うまくいくか、いかないか」つまり「売れたか、売れなかったか」でしかありえない。

付け加えて言えば、「第4章 アフィリエイトとアドセンス」は蛇足である。とくに、アドセンスを「クチコミの技術」に加えることは、彼らが定めたルール1)に抵触すること明らかである。アフィリエイトについては機会を改めて述べたい。

以上の欠点に目をつむれば、「クチコミの技術」はおおむねまともな「ブログによる口コミ商法入門」の書であるといえる。この本に導かれて難破することはない。

[関連サイト]

口コミ商法、ブログで難破(羊)

インフルエンサー・マーケティングの勘違い(羊)

本日の知恵のネットワークス:


クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング (単行本(ソフトカバー)) コグレ マサト (著), いしたに まさき (著)



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投稿者 CMO
 
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