ブログ記事詳細
日付 2007/06/25 10:57
 
タイトル 「市場の壁を打ち破る プロ広告作法」
 
カテゴリ
特ネタ本ライブラリ
 

特ネタ本ライブラリー第三回は、ユージン・シュワルツの「プロ広告作法」(1967年)である。


市場の壁を打ち破るプロ広告作法 (1967年) 井上 道三 (翻訳), 松岡 茂雄 (翻訳) 
*写真は「幹部の著作物」(Speak)より

商品の詳細:とくに断りのない限りデータはアマゾンから(2007.06.22現在)
・単行本:356ページ
・出版社:誠文堂新光社 (1967)
・ASIN:B000JA8152
・定価:1470円(税込み)
・売価:14500円(古書サーチ)
・P値:13030円
・D値:986%
* P値(プレミア指数)=売価と定価との差額(単位:円) *D値(乖離指数)=定価に対する売価の割合(単位:%)

原題は「Breakthrough advertising;: How to write ads that shatter traditions and sales records」。1966年に教育・実用専門のプレンティス・ホール社より出版され、絶版となり、1984年ボードルーム・クラシック版発売、ふたたび絶版となり、使い古されたコピー(!)がeベイで900ドルの値が付き、その翌年の2004年に復刻版専門のボトムライン社から95ドルで再発行された。ボトムライン版もすでに在庫切れのようで、マーケット・プレイスでは195ドルで取り引きされている。本家プレンティス版はさすがに安くなったとはいえ、358ドル85セントは強気のプライシングだ。

たかがコピーに900ドルだって?いったいどこにそんな奴がいるんだ?もっともな疑問にシュワルツは次のように解答している(ただし、1984年のことだが)。

「たくさんの人が私のところにやってきて言うんだ。ミスター・シュワルツ、あなたの本を丸ごと信用したおかげで、数百万ドルも稼ぐことができましたって」

この時点ではすでに、シュワルツには、自著の価値が最初に自分が意図したものを超えていることが明らかになっていた。通信販売のための広告コピー・テクニック、初手から利益を生むための実戦法則について述べた実践の書は、たんなるコピー作法の域を越えて、新製品であれ旧製品であれ、まったく新しいマーケットを切り開くための伝道の書となっていた。この本で彼は、これを成し遂げるために必要なステップのすべてを、一段ずつ示している。

そんな高みにまで本書を導いた秘密は、シュワルツの方法論にある。本書の「はしがき」でそのエッセンスをかぎ分けることができる。彼はこう宣言する。

法則がたえず変わり、結果を決定付ける力も絶えず変わり、毎日、新しい問題に直面するような分野では、とうてい法則も公式も原則も効果はない。そんなものは、硬直しすぎており、過去に固く縛りつけられすぎている。それに取って代わるのは、「不断の新しい事象」を処理する唯一の方法、「分析」である。(略)それは、あなたに、ある特定の力の行き先を教え、あなたが目的地にいちばん先に着けるように案内してくれる、いうなれば、測量棒であり、検問所であり、 道路標識のような一連の質問なのである。
- 本書「はしがき」より

分析とは、適切な質問を発する技術である。問題自身に適切な解答をさせる技術である。それこそが市場の壁をブレークスルーする技術である。その技術(質問)とは次の3つだ、とシュワルツは主張する。

1) その市場を創りあげている大衆欲求とはなにか?(市場はすでに発見ずみとして)
2) どのように、君の商品がその欲求を満足させるかについて、今、どれだけの人々が知っているか?(市場の商品認知度)
3) 君の商品が市場に出る前に、いくつ他社製品が出ていたか?(市場の成熟度)
- 本書「第二章 見込み客の商品認知度」

「市場」の商品認知度と成熟度を、計測可能な尺度としてマーケティングの世界に持ち込んだのはシュワルツが最初である。ある商品にとって、「市場」がどのような状態にあるかは、質問2)と3)の解答が教えてくれる! これがいかに革新的な方法であったかは、たとえばコトラーの次のような文章と比べればわかる。

製品ライフサイクルについては、次の四つの事柄が指摘できる。
1) 製品には寿命がある。
2) 製品は異なった段階を通過していく。
3) 製品の利益は、各段階ごとに上昇し、また下降する。
4) 製品は、各段階ごとに異なったマーケティング、財務、製造、人事戦略を必要とする。
各段階がどこで始まりどこで終わるかを判断するのは、恣意的である。通常、各段階は、売上高の伸長率の変化によって見分けられる。
- 「マーケティング・マネジメント第7版」第13章

恣意的な判断で段階が決まるなら、マーケティングもいきあたりばったりでよろしいということになる。売上高の2階微分を持ち出したところで、わかるのはせいぜい「自社製品」の動向であって、「市場」の動向ではありえない。シュワルツが革新的だったのは、「自社製品」のかわりに「市場」を、「恣意的に判断」するかわりに、「適切に質問」することによって、君の商品がどの段階にあるか(従って、どんなブレークスルーが必要なのか)を「目に見える形」にして示してくれたからだ。

付け足して言えば、日本版には原著にない特典がついている。シュワルツが自ら掲載した数点の自作以外にも、彼がコピーだけ引用した広告の写真がかなりの数(数えてはいないが、たぶん2、30点)掲載されていることである。訳者の献身的な努力によって、「タバコ、痔、やせ薬からワーゲン、エイビスまで・・・アメリカの広告100年の歴史が生んだ、血と汗とアブラの結晶」を、ざっと目にすることができる。これだけだけでも1万4千円は高くない(かも)。


本の広告で、ウォールストリート・ジャーナル用に改良されたもの。これはたいへん成功し、1ヶ月に1回、計19回繰り返し掲載されているが、まだ売上は落ちていない。 - シュワルツ(本書執筆当時)

 [関連サイト]

市場の成熟度(羊)

市場の商品認知度(羊)

ミッション・クリティカル

ある広告人の告白を分析する(羊)

[本日の知恵のネットワークス]

Get the Hard-to-Find Transcript of Eugene Schwartz's Electrifying Speech to Phillips Publishing October 8, 1993(POWERwriting.com)


人気blogRankingに参加しています。
上のバナーのクリックをお願いします。

海外で便利なSIMロックフリーの日本語携帯端末
NOKIA6630


あんしん生活応援サイト「あんしん屋」
企業とご家庭の防犯・防災・情報セキュリティのご相談・お見積りは「あんしん屋」

投稿者 CMO
 
この記事の
トラックバックURL
http://www.uportal.ne.jp/WisdomNetworks/Blog/archive/2007/06/25/weblogentry-505/trackback
前のタイトル ヤフーがグーグルに「負けてない」18の理由
次のタイトル NYのおしりだって、洗ってほしい。