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日付 2007/10/24 10:02
 
タイトル 「小売の説得術」
 
カテゴリ
特ネタ本ライブラリ
 

特ネタ本ライブラリー第四回は、斎藤 駿の「小売の説得術 モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション」(1998年)である。


小売の説得術―モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション (単行本) 斎藤 駿 (著)

商品の詳細:とくに断りのない限りデータはアマゾンから(2007.10.24現在)
・単行本:223ページ
・出版社:ダイヤモンド社 (1998/09)
・ISBN-10: 4478560293 ・ISBN-13: 978-4478560297
・定価:1680円(税込み)
・売価:9200円(税込み)
・P値:7520円
・D値:547%
* P値(プレミア指数)=売価と定価との差額(単位:円) *D値(乖離指数)=定価に対する売価の割合(単位:%)

本書は、書店で買える(有料の)通販カタログ「通販生活」を発行するカタログハウスの斎藤駿が、1997年から98年にかけて求めに応じて寄稿した文章を集め、書き下ろしを加えて一冊の本にしたものである。斎藤には、「なぜ通販で買うのですか」(2004年)という集英社新書のベストセラーがあり、そちらは今も現役でちょこちょこ売れている(アマゾン・ランキング6630位 10/24現在)。書名こそ違うが内容は似たようなものなので、本書を特ネタの範疇に入れるのはどうかという向きもあろう。それでも羊は本書「小売の説得術―モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション」を取り上げる。

「なぜ通販で買うのですか」は「だから通販生活で買ってよ」という店主・斎藤のメッセージであり、カタログハウスのプロパガンダである。「なぜこれ(通販生活)が圧倒的信頼と支持を勝ち得るにいたったのか」について「カタログハウスの現役社長である著者」が語る自慢である。こちらが読まれるのは、せいぜい「通販生活」が売れている間だけであろう。一方、「小売の説得術―モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション」は、書名が示すとおり、小売の説得術を詰め込んだまぎれなき秘伝の書、読み継がれるべき特ネタ本なのである。

斎藤駿は小売の説得術について次のように語る。

1) 語りかける自分をどうしたら信用してもらえるのか。
2) 見えない相手をどうしたら見えるようにとらえられるのか。
3) 相手の心をゆり動かすことば(と写真)はどうしたら生み出せるのか。
説得技術の基本は、さしずめ、この三点だ。
- 説得技術の三つの基本(本書「第2章 キャロリン・デービスの説得術」)

80年代のどこかで日本のマーケットは大きな構造変化に直面した。50年代のアメリカで生まれ80年代の日本で最盛期を迎えた「心やさしき顧客」は、絶頂のまま息絶えようとしていた。70年代に旗揚げし、82年に「通販生活」を創刊した斎藤駿は、この時期に大きな転換を迫られることになる。小売の立場から見た説得の構造変化である。斎藤の出した処方箋は明快で、見事である。語り手は「自分」、逃げも隠れもしない、オレが売るんだ、この意気込み。

ただし、断っておくが、羊は、通販生活一派が生み出した「ことば」(コピー)は、嫌いだ。「自分」のかわりに、たびたび「善意の第三者」を持ってくるからだ。百歩譲って「善意の第三者」でもいい。もともと、彼等のコピーは、「自分」が書いてもそんなスタイルである。しかし、「善意の第三者」として「著名人」(たとえば正司歌江)を持ってくるから、もっと嫌いだ。

斎藤は小売の人である。通信販売というのは、要は、それ向きの商品と見込み客の絞り込みだから、説得にも迷いが少ない。一般の企業(メーカー)がすぐに真似できる手法ではない。羊のことばで、「小売」の説得術を「企業」の説得術に一般化すればこうなる。

1) 語り手を企業(の、少なくとも代弁者)に固定する。
2) 語り手に消費者の視点を繰り込む。
3) 繰り込まれた視点で、商品を見直す。

とはいえ、本書「小売の説得術―モノ買わぬ消費者とのコミュニケーション」は前記の一節(説得技術の三つの基本)だけで、特ネタ本としての資格を十分に持ち合わせている。「通販生活」を始めるにあたって著者が必死におさらいをしたであろう、シアーズ・カタログとキャロリン・デービス(リーダーズダイジェストのDMレターの差出人)の手法を現代的な文脈の中で見事に蘇らせている。「なぜ通販で買うのですか」にはそれがない。
※12:50 データの一部を改訂しました。

[関連サイト]

インフルエンサー・マーケティングの勘違い(羊)

[特ネタ本ライブラリー]

第三回 市場の壁を打ち破る「プロ広告作法」
第二回「売る」広告
第一回 ものいう広告―ペイするコピー作法
特ネタ本-読み継がれる秘伝の書(予告)



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投稿者 CMO
 
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