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日付 2007/12/06 19:12
 
タイトル Amazon Kindle、テレビCM抜き(羊)
 
カテゴリ
マーケティングの実際
 

Kindle発売から1ヶ月が過ぎようとしている。アメリカでは、一部でiPodにもたとえられるほど報道陣の受けが良いのだが、アマゾンのデビュー・キャンペーンは相当地味である。何か隠し味をきかせているのだろうか。大騒ぎだった、もちろん大成功でもあった、アップルのiPhoneと比べながら、Kindleの導入策を見ていこう。

[プリ・プレス]
アップル:意図的にリークしているフシが見える。もちろん、おおっぴらではないので、もっぱらマウス・ツー・マウス(クチコミ)が頼りだ。iPhoneでは、クチコミ報道は足掛け3年にもわたって続いた。活躍したのはEngadgetやGizmodoなどのブログ・マガジン。掲載料はもちろん無料。
アマゾン:Engadgetで見る限り、Kindleの名前が最初に出てくるのは昨年の9月で、Engadgetの記事には105本のコメントが付いている。その後、11月の発表まで6本のエントリーがあったぐらいで静かなものだった。

[カンファレンス(プレス・リリース)]
アップル:重要な商品については、スティーブ・ジョブス自らがカンファレンスでプレゼンするのが通例となっている。今回は、1月のMacworldで発売予告し、6 月のWWDCで詳細スケジュールを発表した。スティーブは稀代のプレゼンテーターである。聴衆は彼のパフォーマンスに魅了され、マスコミは こぞってニュースに取り上げる。プレゼンテーションの模様は、自社のサイトで、時にはリアルタイムに動画で伝えられる。プレス・カンファレンス→即日ウェ ブサイトでレポート、商品情報アップという道筋は今では常識となっているが、スティーブ以前にこんなやり方をしたCEOはいなかった。
アマゾン:発売前日の11月19日(米時間)になって、はじめて公式発表を行う。ユニオン・スクエアのW ホテルにNYの報道関係者・ブロガーを一堂に集めて、CEOジェフ・ベゾス自らがプレゼンテーションを行った。出席した報道関係者全員に実機がプレゼントされた。プレス発表に先立ち、ニューズウィーク11月16日号で、ベゾス自らがインタビューに応えてフライングしている。もちろん、キャンペーンの一環でしょうが、一番好意的な記事を書いたのが、「本の再発明」とまで称えたニューズウィークだったのは偶然か。Gizmodoは写真付きで皮肉たっぷりに紹介している(下記)。


上の写真は月曜のプレス発表に先立ち、『Newsweek』最新号巻頭特集7ページを飾ったアマゾンの大将ジェフ・ベゾス。「これは端末ではない、サービスだ」と語る彼のKindleにかける意気込みは、昨日のプレス発表ライブブログとQ&Aでどうぞ。第1印象もそちらに出てます。
- [総力特集]Amazon Kindleは「本のiPod」になれる? Q&Aとデモ動画(Gizmodo Japan 2007.11.21)

[クチコミ]
アップル:満足した顧客は最高のセールスマン。これがクチコミ商法の第一条でありすべてである。その顧客がセレブの場合、クチコミの威力は桁違いに増大する。 iPhoneは噂の段階からセレブが噛んでいた(マドンナ)。行列にならんだセレブでは、スパイク・リー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジョン・ストリート (フィラデルフィア市長)、スティーブ・ウォズニアック(アップル共同創業者)などが挙げられている。もち、ノー・ギャラ!
アマゾン:ノーベル賞作家トニ・モリスンをはじめ、7名の人気作家がジェフとの対談ビデオに協力している。このビデオはアマゾンのサイトでしか見られない。もちろん、ユーチューブにはけっこう出回っている。セレブは地味だが、その代わり、多数の一般人を発売前のモニターに起用して、クチコミ狙いの商品テストを実施している。商品発売と同時に、アマゾンのサイトに多数のレビューが投稿されたのはそのためだ。

[TVコマーシャル]
アップル:アップルのTVコマーシャルは、伝えるべき商品(情報)があるときは非常に有効である。当たり前のようだが、意外に認識されていない。ピンとこない人は、たとえば同社の「Think Different」(1997年)あたりからおさらいしてみよう。もちろん、お金も十分すぎるくらいかかっている。
アマゾン:TVコマーシャルなし!発売当日にオンエアされたPBXのチャーリー・ローズ・ショーで、ベゾスがその理由を明かしてくれた。曰く「優れた製品、サービスがあれば、人々はそれについて語ってくれる」。クチコミが一番。ところで、Kindleのカスタマー・ディスカッションのページにはこんなスレが立っている。「They need to do TV ads」。3件の投稿があって(12月6日現在)一人が賛成、一人が反対、三人目のロジャー・ナイトさんは「品切れなのに広告するなんて、ナンセンスだ」。

[ウェブサイト]
アップル:アップルのウェブサイトは、企業サイトのお手本でもある。ここには商品情報のすべてが揃っている。特集主義でパブと連動したウェルカム・ページ(幕の内弁当スタイル)、多層だけれどもサッと見やすいサイト・デザイン(ハイパーリンク)、特筆すべきは自社に関する報道を網羅したHot News Headlines
アマゾン:アマゾンは、先頭を切ってネット販売の仕組みを開発し、成功している企業の代表だ。オンラインならではの威力は、UGC(ユーザー参加型コンテンツ)の分野にも顕著に現れている。カスタマー・レビュー、レーティング、アソシエイト・プログラム、がその代表だ。その効果は、ウォルマート、ターゲットなどアメリカの錚々たる小売業者がこぞってこのシステムを取り入れたことで証明されている。UGCを顧客ボンディング・プログラムとして最初からシステムに組み込んだのもアマゾンの創見である。レビューしかり。レーティングしかり。本を読まない書評などあり得ないし、ユーザーが参加しなければレーティングは機能しない。Kindle(製品)でも事情は変わらない。Kindleのカスタマー・レビューは、発売1ヶ月足らずですでに900を超えている。レーティングが星3つなのはご愛嬌。

[レビュー(記事)]
アップル:今回は、有力誌の記者に事前配布するというフライングまがいの策も出た。他紙誌からのブーイングが起こらないのが不思議だが、それはさておき、発売後の報道もきわめて活発だ。7月17日現在Hot News Headlinesで 紹介されたものだけあげる。大新聞、TV局、オンラインマガジンなど極めて多種多彩。CBSNEWS、tech.co.uk、San Francisco Chronicle、Time、Stuff.tv、Computerworld、Houston Chronicle、internetnews、USA Today、Macworld
アマゾン:ニューズウィークで明らかなフライング。それでも報道関係者はおおむね好意的だ。なにせ、1台ずつ平等に配ってますから。amazon kindleでグーグルNews検索(英語)したら、1562件(12月6日現在)。12月3日以降だけでも23件。
12月7日追記:AmazonのKindleが欲しい!!(湯川鶴章のIT潮流 2006.12.06)
久々の物欲。原稿を書くために米国アマゾンで売っている電子ブックリーダー「キンドル」のことを調べていたら、無性に欲しくなった。欲しくてしょうがない!日本からは買えないらしいけど・・・。

[伝統メディア]
アップル:なかでも屋外広告はアップルの好きな媒体の一つだ。ニューヨークなど大都市では、リンゴはそこらじゅうに転がっている。直営店もそれ自体巨大な広告塔だ。黒いTシャツを着た店員のフレンドリーな接客は、アテンション・エコノミーの勝ちパターンに通じている。
アマゾン:無害。

[関連サイト]

戦略的クロスメディア・マーケティング(羊)

待たすマーケティング・とどめのiPhone(羊)

意外にまともな「クチコミの技術」(羊)

素顔のアテンション・エコノミー(羊)


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投稿者 CMO
 
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