ブログ記事詳細
日付 2008/04/24 13:34
 
タイトル 耳打ちマーケティング(羊)
 
カテゴリ
マーケティングの実際
 

マーケティングに応用できる、到達距離の最も短いメディアが生まれるかも知れない。やや古いがソニーのニュースリリース

ソニー株式会社(以下、ソニー)は、携帯電話、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどのモバイル機器から、写真・ハイビジョン映像等の大容量ファイルを、かざすだけで、パソコンやテレビなどに高速転送できる近接無線転送技術「TransferJet」(トランスファージェット)を開発いたしました。 この技術を搭載することにより、560 Mbpsの高速データ転送を可能にします。この技術は1月7日から米国で開催されるCES Internationalにて参考展示を行います。
- ソニー(株)報道資料 2008年01月07日

CES開催当時(といっても、ほんの3ヶ月前)のIT関連メディア各社の取り上げ方は、「かざして大容量ファイルを転送 560Mbps TransferJet、ソニーが開発」(ITmedia)とか「TransferJet: Sony's answer to wireless USB」(CNET)とかといった程度で、大して話題にもならなかったので(大容量・ワイヤレス転送もすごいといえばすごいが)見過ごしていたか、見出しだけ見て気がつかなかったか。

ところが、ついこの間、次の記事を見て、オッと、ちゃんと目をつけている記者は、見出しからして違う。

3cmしか飛ばさないデータ通信、トランスファージェットとは?
今年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「インターナショナルCES(コンシュー マー・エレクトロニクス・ショー)2008」。その会場で一際注目を集めた技術があった。それがソニーが展示した近接無線転送技術「トランスファージェッ ト(TransferJet)」だ。あえて近くにしか飛ばさない無線で何を実現するのか、開発者に聴いた。
- BCNランキング トピックス(2008年4月21日00時57分更新)

というわけで、冒頭のテーマ。「耳打ちマーケティング」とは、到達距離3センチのメディアから思いついた羊の造語です。

さて、ちょっと前から、OOH(アウト・オブ・ホーム)広告の方で「デジタルサーネージ」が話題に上るようになってきている。デジタルサイネージとは「簡単に言えば、街頭や店舗、公共の空間などで表示されているポスターや案内表示、看板などを、紙ではなく薄型ディスプレーに置き換えたものである」(湯川鶴章のIT潮流)ということだが、こと「ディスプレー」に限らず、話題の中心がコンテンツの表示技術や配信技術に向かうのは自然な成り行きだ。たとえば、「現在、スーパーの食品売り場担当者は、午後のワイドショーの番組内容によって商品の配置を変更し、今日の○○で紹介されました!!と大急ぎでPOPを書き直しているが、デジタルサイネージを使えば一括で最新情報の更新ができる」(江口靖二のテレビの未来 NIKKEI NET)という活用も、現実に行われるようになった。当然のことながら、テレビに変わる新しいメディアだともてはやす目ざとい業界関係者も出てきている。

小売業専門のコンサルティング会社Platt Retail Instituteのスティーブン・プラットさんは、業界誌cleverdisの2008年1月号の中のインタビューで、次のように語っている。  「ストアは、消費者とマネーと商品が出会う場所。そこでメッセージを発信するのだから非常に効果的です。広告の効果があるのかないのか、あるとすればどの程度の効果なのかを分析することができるようになれば、ストア内のデジタルサイネージの広告市場の規模は2年以内に非常に大きなものになります。5年以内に市場規模でテレビを抜くでしょう。間違いありません」。
- 「小売店舗はテレビを超える広告媒体に」-デジタルサイネージ②(湯川鶴章のIT潮流)

これはこれで結構なことだ。しかし、いくらテクノロジーが進んだとはいえ、立ち位置としては従来メディアの範疇を越えるものではない。江口さんや湯川さんの言うとおりなら、外で見るテレビとたいした違いがあるわけでもない。いや、テレビは不特定多数に向けたメディアであるが、デジタルサイネージはそうじゃない、「消費者とマネーと商品が出会う場所。そこでメッセージを発信する」わけだから、ターゲティングもセグメンテーションも、もちろんポジショニングも申し分ない広告が展開できる、と関係者なら反論するかも知れない。しかし、ちょっと考えればわかることだが、行く先々で見たくも無い広告がちかちか点滅するようになれば、うるさくてかなわんでしょう。

セス・ゴーディンは名著「パーミッションマーケティング」の中で、テレビ広告を「おじゃま虫」と決めつけ、テレビに代表される従来メディアに頼るマーケティング手法を「土足マーケティング」であると喝破した。

著者が時代遅れだと指摘するのは、CMや勧誘電話、ダイレクトメールなど不特定多数向けの広告だ。日常生活に侵入するそれらのメッセージを「土足マーケティング」と呼び、たった2%の反応を良しとする効率の悪さを批判する。
- 日経ビジネス1999/12/13号 Copyright?日経BP社.All rights reserved.(Amazon)

デジタルサイネージも今のままでは「土足」である。見知らぬ通行人に呼びかける構図は変わらない。靴を脱ぎたければ、通行人の方からもっと近づいてもらいましょう。それが「耳打ちマーケティング」である。「行く先々」で、メッセージを「受け取りたい人だけ」が、「十分な量」の情報を「素早く」受け取ることができる。そんなメディアが生まれるかもしれない。3センチの壁がそれを可能にする。

従来のメディアは生き残れない。なぜなら、現在のメディアの姿は、その基底にあるハードウェア技術の産物だからだ。ユーザ体験がハードウェアの制約を受けている限り、いったんその制約がなくなれば、もっとよいものが出てくることは請け合いだ。
- 従来型メディアの終焉(Jakob Nielsen博士のAlertbox)

[関連サイト]

究極?のターゲティング・その2 フロリダ
米4都市で、究極?のターゲティング

[本日の知恵のネットワークス]

パーミションマーケティング―ブランドからパーミションへ (単行本) セス ゴーディン (著), Seth Godin (原著), 阪本 啓一 (翻訳)


人気blogRankingに参加しています。
上のバナーのクリックをお願いします。

SIMカードなら迷惑メールは入りません。
海外で便利なSIMロックフリーの日本語携帯端末
NOKIA6630

投稿者 CMO
 
この記事の
トラックバックURL
http://www.uportal.ne.jp/WisdomNetworks/Blog/archive/2008/04/24/weblogentry-597/trackback
前のタイトル 大丸のお客様第一主義(羊)
次のタイトル レターの威力(羊)