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日付 2008/06/27 10:17
 
タイトル インターネットはカルダモンの匂いを嗅ぐか?(羊)
 
カテゴリ
Web 2.0
 

まずは次の記事。

ユニクロの「UNIQLOCK」、カンヌ国際広告祭の2部門でグランプリを受賞
ユニクロが国際的に展開しているWebプロモーション「UNIQLOCK」がカンヌ国際広告祭のチタニウム部門とサイバー部門でグランプリを受賞した。カ ンヌ国際広告祭は全9部門からなる世界最大級の国際広告賞。受賞者に授与されるトロフィーがライオンを象ったものであるため通称「カンヌ・ライオン」とも 呼ばれる。この受賞により同社のUNIQLOCKは、米国の広告賞であるCLIO AWARDS、One Showのインタラクティブ部門でのグランプリ受賞とあわせ世界三大広告賞の受賞を達成した。
- マイコミジャーナル 2008.06.23


ユニクロのキャンペーンサイトUNIQLOCKの最新版でキャンペーン第三弾となる「20 COLOR T-SHIRTS」編(マイコミジャーナル)

ということでユニクロである。この受賞がユニクロの売上増進に少しでも貢献するようであればけっこうなことだが、観測子の中には「ユニクロ」(企業)よりも「UNIQLOCK」(ブログパーツ)の方に圧倒的な注目を浴びせる向きもある。次はその代表。

あれってさあ、ただのブログパーツでしょ。何がすごいの。と問われたときの回答を考えた。すごいんです。

1. 音楽、ダンス、時計を絶妙に組み合わせて、理性を超えた感覚を刺激した。
2. 広告でなく、時計としての実用性を備えたエンタテインメントに仕上げた。
3. いろいろなダンスの映像により、いつまでも見てもらえるよう工夫をした。
4. 毎時ジャストの特別映像など、見つけるとうれしくなる仕掛けを用意した。
5. ビデオ共有サイトなどを利用して、周辺の話題を増幅した。
6. 言語の壁を越えて世界の誰もが楽しめるようにした。
7. 話題の広がりを世界地図で確認できるようにした。
8. 時間が経ってもなくらないストック型の構造にした。
9. 配信するコンテンツを差し替えられるようにした。
10. 結局、女の子がかわいかった。

他にもあるかも。「10. 結局、女の子がかわいかった」は、解説すると長くなるので省略。29manさんとあらやんさんの結論「UniqlockってPerfumeだよね!」を参照されたし。(以下略)
- ユニクロ「UNIQLOCK」って何がすごいの?(インターネット広告の秘密 2008.06.23)

この記事では、「UNIQLOCK」はすごい、と書いてあるが、「ユニクロ」がすごい、とは一語も出てこない。もちろん「ユニクロのフリース」の話はない。これを読んで、なぜかワンダーマンの講演を聴いたときのことを思い出した。そのときの感想が残っているので、ママ引用する。4年前の原稿がおさらいできるとは、「カンヌ国際広告祭」「UNIQLOCK」「インターネットの秘密」に感謝。

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インターネットに感情はないのか?

ワンダーマンさん、80歳を有に越えた今も力強く明快な語り、講演の内容も期待にたがわず、「そうだよ、そうだよな」と相槌を打ちながら拝聴するという進行でありましたが、一箇所だけ「そりゃないでしょ、ワンダーマンさん」と思わず声をあげそうになった箇所がありました。それは、TVコマーシャルが持っているある側面を論じながら、とつぜん、一番新しいメディアであるインターネットに触れたことです。講演の流れでそのまま紹介すると唐突過ぎて何のことかわからないので、電通ワンダーマンのサイトから同じ趣旨でより詳しく言及された部分を引いて見ます。原文ママです。

質問6:ダイレクトマーケティングにおけるモバイル含めたインターネットの世界がどの様な役割を果たしつづけるのか。試行錯誤の中、クリックアンドモルタル、モバイルユビキュタスという言葉もキーワードとして挙げられていますが、それをどのように位置付けるのでしょうか?将来の予測をお聞かせください。
ワンダーマン氏:インターネットは、情報すべてに関係しています。インターネットは感情を持っていません。面白いことに、よい広告は情報及び感情の両者を持っているということです。そして、人々を反応させます。インターネットは純粋な情報です。ほとんどニュートラルであり、何かをあなたに伝える事をします。(インターネットをるのは)情報を望むからであって、インターネットに対して何らかの感情を持つからではありません。従って、インターネットは感情的でないメディアです。
「かつての、そしてこれからのアドバタイジング-ダイレクトマーケティングの可能性と19のルール」 2003年2月6日 於・電通ワンダーマン(東京)

問いに直接答えているかはさておいて、それにしてもワンダーマンさん、どんなメディアも感情なんか持たないでしょ、ふつう。それに情報と感情を分けて考えるのも変。情報には感情も含まれると仮定してみても(実際含んでいるらしい)、それは情報の中身(コンテンツ)であって、決してメディアじゃないはずなんだけど。

彼が講演中こんなことを言い出したのは、たとえばTVコマーシャルについて「10秒や30秒で伝えられるメッセージ(情報)はたかが知れてる。それはナレッジ(知識)にはならない」と言う文脈でなんですね。情報と知識でTVコマーシャルを切って、返す刀でインターネットもばっさり、というつもりだったのかな。ダイレクト・メールとの比較でメディアの役割について述べているだけで、別にけなしたいわけじゃない。レスターがこんな単純なことを見逃すはずはないんで、彼はただ「インターネットがダイレクト・メールにとってかわるってみんなさわいでるけど、そんなわけないよ」てことをいいたかっただけかも知れない。でもここまでいわれると、じゃダイレクト・メールには感情があるのかっていいたくなるのは人情なので、いってみます。

情報に感情は含まれないのか?

私たちの定義(補足1)からすれば、「情報」には「知識」はもちろん「感情」も含まれます。でもまあ、そもそも情報とは、からはじめてもしょうがないんで、話をしぼりましょう。私たちが注目したのは、「表現」に含まれる情報です。

「今でも君を愛しているよ」という表現(テキスト)が何らかの情報を含んでいることに異議ないですね。さて、話し言葉なら、音の高低や大きさ、リズムの変化で、重要と思うものを強調し、情動的な調子(感情のことでしょうか)を伝える工夫ができます。同じセンテンスを12通りにいいわけて、12通りの愛を伝えることもできるでしょう(試したことはないですが)。かなりトーンダウンしますが、書き言葉でも同じような工夫が可能です。たとえば「今でも、君を、愛しているよ」。え、ピンとこない?じゃこっちは?「今でも、君を、愛しているよ」。これはどう?イマデモキミヲアイシテイルヨ

こういうのエディトリアル系のデザイナーや雑誌編集者ならだれでも知っていることです。電車の中吊り広告にはゴシック文字が氾濫しているのはなぜか?ミセスの目次は明朝でスミ一色なのに、すてきな奥さんは書き文字系の太Gでやたらにカラフルなのはどうしてか?手書きの年賀状をなんとなくありがたく感じるのはどういうわけ?答えは単純。書き言葉では書体や文字組(タイポグラフィ)が、話し言葉でいうところの声の調子も担っているからです。手書きも含めて、書体や文字組(タイポグラフィ)を工夫することで情緒的な効果を引き出せるんです。これはグラフィック・デザインの基本です。

けっきょく表現技術の違いだった?

インターネットが感情や情熱に欠けていると感じるとすれば、それは単にサイトのデザインが下手くそだからであって、メディアの本質でもなければ宿命でもありません。数千年の歴史をもつ手紙、数百年積み重ねた出版物、数十年を経て花形メディアに成長したTVにくらべて、インターネットはまだ数年。Webサイトのデザイナー・編集者はまだまだ経験不足です。Webデザインと印刷デザインの違いについてもまだよくわかっていません(補足2)。

レスターのいうとおり、DMは確かにひとりひとりの見込客に「しっくりなじむ」メディアです。でも、それをいうならeメールはどうなの。アドレスにピンポイントで届くし、パーソナライズだって簡単だし、費用の面では、印刷代も切手代もいらないこっちのほうがずっと有利だよ、ワンダーマンさん。もっとも、あなたの「インターネット」は、「Webサイト」のことであって「eメール」のことではないかも知れませんね。それでも、リアル(印刷物)かバーチャル(ディスプレイ)かの区別は依然残るけれど、決定的な違いはないと思います(補足3)。

We Are What We Know.

しめくくりはワンダーマンさんの「成功する会社が知らなければならない19のルール」(Being Direct)より、第19番。

「あなたの価値は、持っている知識の量によってきまる」
データの収集は支出をともなうが、それによって知識を得られれば儲け物だ。情報となり得るデータのみを集めること。それがひいては知識となる可能性がある。知識があってこそ、成功が約束され、リスクが最小限にくいとめられる。企業は、持っている知識の範囲以上の存在にはなり得ない。(「成功する会社が知らねばならない19のルール」電通ワンダーマン)

情報と知識の区別に目をつぶれば、私たちがいいたいことをちゃんといってくれてます。ワンダーマンさん、アナタハイマデモアイドルデス
2004.2.16

補足1:私たちは情報という言葉を次のように理解しています。「情報とは、事実(状況を含む)について人に伝える知識、または人から伝えられる知識」(木下是雄「理科系の作文技術」)。デジタル信号を意味しているわけではありません。念のため。(原註)
補足2:「印刷デザインとWebデザインとの違い」(J. ニールセン)参照。
補足3:ダイレクトメール(印刷物)の未来については「紙のカタログはなくなるの?(羊)」「DMはなぜ増え続けるのか?(羊)」を参照。
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[関連サイト]

無料のランチでも、満足すれば金を出す(羊)

ブランデッド・エンターテインメントの短い歴史(羊)

広告にエンターテインメントは必要か(羊)

ボーイズ、ビー・ダイレクト(羊)

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投稿者 CMO
 
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