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前回は、企画の熟成段階として、私たちの「ひょっとして、恋?の4段階」説を紹介した。段階に分けることによって、やるべきことが分離されて「何を」鍛えればよいかが明確になるということであった。やるべきことを、もう一度掲げる。
1)日常の中から関心領域に触れるサンプルを集めて、ファクトを蓄積していく。 「ただちょっと観察しているだけで、多くのことがわかる」(ヨギ・ベラ)。 2)その時々の課題とデータベースとの符合をチェックする。とつぜん関連性に気づくこともある。 「乗合馬車に乗ろうとして、とつぜん私はひらめいた」(H. ポアンカレ) 3)ファクトをもとに仮説を立てる。一般にはこの段階を企画と呼ぶことが多い。ここが企画のミソなので「ひょっとして恋?」と名づけたわけだ。 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(J.W.ヤング) 4)効果的なプレゼンテーションはどうする?の部分。企画書の作り方、パワーポイントの使い方、あの手この手のハウツー本がけっこう出回っているので、本稿ではこれ以上は触れない。
ということで、「仮説立て」に進みたいのだが、その前に各段階で「何を」鍛えれば良いかを整理しておく。鍛えるべきは、次の4つである。
1)観察力 2)分析力 3)仮説力 4)説得力
1)観察力は、鍛えて能力を伸ばすというより、観察の機会を増やすと考えた方がわかりやすい。もともとセンスのある人は意識せずともあれやこれや観察しているものである。私たちは凡人なので、習慣として意識的に組み込むしかない。たとえば、私たちの業界(広告業界)で働く人はみな、首の後ろに筋肉の張りがある。業界人であれば、通勤の地下鉄車内では車内吊り広告に必ず目を通すからである。
2)分析力は、「不断の新しい事象を処理する唯一の方法」(シュワルツ)である。それは「適切な質問を発する技術であり、問題自身に適切な解答をさせる技術」である。データマイニングと呼ばれてコンピュータの助けなしには手が出ない領域のように思われるが、データの数が300億とかの桁数にはいらない限り、ヒトの脳でも十分に実行できる。川喜田二郎(KJ)の「発想法 正・続」(中公新書)が参考になるだろう。
3)仮説力とはけったいな言い方ではあるが、仮にこう呼んでおく。実は、ここを鍛えることはそれほど難しいことではない。1)観察と2)分析がきちんとできれば、3)はおまけで付いてくるからである。留意すべきことは、次の式だけである。
事実 + 仮説 = 企画
意見に仮説を加えても、別の意見が生まれるだけで、企画には成りえない。検証ができないからだ。従って、企画を立てる手順は次のように言い換えることができる。
1)フィールドを観察し、ファクト(事実)を収集します。 2)ファクトを分析します。 3)分析結果をもとに仮説を立てます。 4)フィールドに戻り、仮説を検証します。
このセットを2、3回繰り返せば「理論」としても通用するようになる。通常の企画では1セットでかまわない。ファクトから出発する限り、4)の検証は省いてもかまわないのだが、その場合、トンデモ企画の世界に迷い込んでしまう恐れがある。まともな企画でも説得力が落ちるのは避けられない。
参考文献:
「超」マーケティング―ネットワーキング戦略構築の試み 稲垣 佳伸 (著)
アイデアのつくり方 ジェームス W.ヤング (著), 今井 茂雄 (著)
[関連サイト]
企画力養成ギプス・その2
企画力養成ギプス・その1
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