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日付 2009/05/18 14:02
 
タイトル リスクをとる(羊)
 
カテゴリ
大不況のマーケティング
 

事業家にとって「危険を冒す」ことと「日々の糧を稼ぐ」ことは同じことを意味している。リスクという言葉が、語源的には「今日の糧を得る」という意味のアラビア語から出ているのは決して偶然ではない。
- P.F.ドラッカー

ということで、大不況のマーケティング、9回目はリスクである。ただし、上記のドラッカー先生の引用には?を付ける観測子もいらっしゃる。

好きなドラッカーの言葉なのですが、riskの語源を遡ってみても、どうしてもアラビア語に行きつかない。これも一種のエンタメ系のひねりでしょうか?(略)そもそも、原典が分からない。たしかに日本語で読んだ記憶があるのだが、Google Book SearchでもAmazonでも見つからない。
- Airbolg

ともあれ、ごく平凡な事実をこれほど劇的に語ることができる洞察力、さすがにドラッカー先生。その通り、好況であれ不況であれ、事業にはリスクがつきものなのである。とくに100年に1度の大不況ともなれば、ほとんどの企業が何もしなくても倒産の危機にさらされているわけだから、座して待つより仕掛けたほうが得だと考える経営者が出てきても不思議ではない。

薄型テレビ市場が不況に見舞われ、国内メーカーが軒並み苦戦を強いられる中、パナソニックは強気の出荷計画を立てている。2009年度(2010年3月 期)の出荷目標は1550万台と、08年度実績(1005万台)の約1.5倍。「他社が生産を増やしていない今がチャンス」と、大坪文雄社長の鼻息は荒い。
- パナソニック、テレビで攻勢 出荷1.5倍に 「今はチャンス」と大坪社長(ITmedia News 2009.05.18)

不況時にシェア拡大を目指すのは「強者の戦略」としてはごく普通ではある。一方、「08年度を下回る生産台数目標を設定して収益を優先したソニー」(同)は、戦線縮小というリスクをとったわけだから、これまた不況時の選択としてはまともであろう。吉の目がどちらに出るかは、運次第。過去の事例をみても「勝ちに不思議の勝ちあり」以上の観測は導き出せそうもない。

おそらく、当初にリスクをとり、後にリスクをとらなかった企業の事例として、とくに劇的で、とくによく研究されているのはゼロックスだろう。同社には最大級の勝利と最大級の悲劇がどちらもある。
- ビジネスで失敗する人の10の法則(D.R.キーオ)

ここでキーオが指摘した勝利は、無名の発明家が発明した「複写技術」の製品開発であり、悲劇は同社のパロアルト研究所が73年に開発したアルトの無視である。アルトとは「グラフィック用のモニターでアイコンを使い、画面上に複数のページを表示し、マウスと呼ぶ小さなかわいい器具を使う」パーソナル・コンピュータの走りである。まだ現れてはいなかった未来のライバルより5年は先を行っていたが、商品化はされなかった。


Xerox Altoのモニターは縦長だった - ウィキペディア

キーオ自身、全米の大学院で「Coke's reformulation (コカ・コーラの調合変更)」と固有名詞で紹介される大失敗を経験している。

典型的な失敗例としてエドセルやドーナッツ盤レコード、ニュー・コークなどの事例が取り上げられているが、これらの間違いすら、意味があったとも主張できる。(略)要するにリスクをとってうまくいかなかった例である。
- D.R.キーオ(前掲書)

転んでもタダでは起きない商売人とはいえ、「こうした計算違いは、その時点には高くついたとしても、事業を続けるためのコストの一部だ」とはキーオさん、我田に水を引きすぎてはいませんか。そこへ行くと、わが山内溥(任天堂)はもっとリアリストである。ロクヨンとゲームキューブで任天堂が沈んだ時代を振り返って山内はこう語る。

「僕に運があったのは、ゲームボーイが誕生してポケモンも出てきたこと。任天堂には、やっぱりソフト体質の人がいて、それで何とか折り合いがついた。これは何かと言ったら、もう運が良かったとしか言いようがない」
- 任天堂“驚き”を生む方程式(井上理)

ゲームから逃げてハードに走ったソニー、ゲームから逃げずにソフトを追及した任天堂。リスクのとり方は好対照である。結果が好対照になったのは、しかしながら、偶然でしかない。

[東京 17日 ロイター] 株式市場では任天堂(7974.OS: 株価, ニュース, レポート)が4日ぶり反落。調査グループのNPDが16日公表した調査で3月の米ビデオゲーム全体の売上高は前年同月比17%減の14億3000万ドルとなったことが嫌気されている。
- 任天堂株が反落、3月米ビデオゲーム売上高を嫌気(REUTERS 2009.04.17)

大不況のマーケティング:過去の記事:

デコイにされるナショナル・ブランド

「100年に一度」に立ち向かう

大不況でも Yes, We Can

不安な時代のマーケティング

「行動ターゲティング広告」で乗り切れ大不況

「黄色」で乗り切る大不況

ピンチはチャンスでもある

不況の波は安売りで乗り切れ


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投稿者 CMO
 
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