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日付 2010/05/06 15:42
 
タイトル 「六甲のおいしい水」とカレーライス
 
カテゴリ
ブランドとその周辺
 

日本のブランド:その5
日本の社会は1980年代の初め頃に大きな転換点を迎えた。それがいつだったのかは正確にはわからないのだが、「六甲のおいしい水」がその標識の一つだったことは間違いない。


六甲山系より採水したミネラルバランスの良い自然の水です。
自然のおいしさを安心して味わえる製法(フレッシュ無菌パック製法)でお届けしています。(ハウス食品)

[東京 9日 ロイター] アサヒビール(2502.T: 株価, ニュース, レ ポート)は買い先行。同社は8日、100%子会社のアサヒ飲料(東京都墨田区)がハウス食品(2810.T: 株価, ニュース, レ ポート)のミネラルウォーター「六甲のおいしい水」事業を53億円で取得すると発表した。今年5月末に事業譲受手続きを完了し、6月からアサヒ飲 料のブランドとして「六甲のおいしい水」を製造、7月から販売する予定。事業取得により、アサヒ飲料を中核とした国内飲料事業の商品ポートフォリオの強化 を図る。「六甲のおいしい水」事業の2009年3月期の売上高は121億9900万円。大手証券の株式トレーダーは、買い材料としてはインパクトが小さいが、手掛かり難のなか意識されているとの見方を示す。
- REUTERS 2010.04.09

さて、本件の会計処理ですが、売り手側のハウスでは譲渡資産の簿価は5,589百万円で売却額53億円ですから289百万円の売却損となりま す。発表文でも3億円の特別損失が発生するとしているので、ほぼ整合します。
問題は買い手側のアサ ヒの方です。「六甲のおいしい水」というのは誰でも知っている著名な商標ですからちょっと考えると大変な価値がありそうですが、ハウスに払う額が53億円 で譲り受ける工場や採水場の土地建物設備だけで簿価56億円となっています。これでは商標権の値段はマイナスになってしまいます。
ここで、この4月から適用されている新しい会計基準では、譲り受けた有形固定資産に加えて商標権のような法的権利も取得資産に含めて認識し、取得対価である53億円をこれらの資産に配分することを求めています。
(略)
商標「六甲のおいしい水」の方は日本国内において著名な商標であることは間違いなく、単独で事業と切り離した形で他のミネラルウォーター事業者にライセンスしてロイヤルティを得ることも可能(実際にはやらないでしょうが)と考えられるため、譲渡対価の53億円の一定部分は商標権に配分するのが自然ではないかと思えます。
 - 特許と会計 Patent & Accounting 2010.04.8
 
以前「六甲のおいしい水」はもともとはカレーに合う水として発売された、と雑誌に書かれているのを読んだ記憶があるのだが、それは本当なのかどうかずっと気になっていたのである。さっそくこの質問を広報IR室の方にぶつけてみると、「いや、それは違いますね。1983年に発売を開始した『六甲のおいしい水』は現社長が開発に関わりましたがそういう話は聞いておりませんよ」とあっさりと否定されてしまった。
「ご存知のとおり当社は飲料分野においては後発です。もともと当社が飲料分野に進出するにあたって、まず第一に他社がやっていないもの、市場にないものを、と考えました。そんな中で生まれたのが家庭用のミネラルウォーターです。1980年当時は日本では『水と安全と空気はタダ』という風に多くの方が考えていました。でもこの頃から、いえ、それ以前からヨーロッパなどでは水は買う、という文化がありました。開発にあたった当時の社長は海外で多くの人々が水を買うことを実際に見ていて、いずれ日本でもお金を出して水を買う時代が来る、と開発を決断。現社長がこれを受け、販売にこぎつけたのです」
「それと、販売していく上でも色々苦労はありました。当時は小売店などでも水を売る定番のスペースなどありません。まずは置いていただく場所を確保することからはじめました。幸いなことに当社はカレーという商品を持っています。そこでカレーといえば、水ですね、ということでカレーの特売コーナーでカレーと一緒に。そしてご飯を炊くときにも使えますよ、と米売場の横に。また、麦茶やコーヒーにもおいしい水を使うといいですよ、と色々なコーナーに商品を置いていただくようにしたのです。そうこうするうちに消費者の方にも小売店の方にも徐々に認知されるようになったというわけです」
- 「六甲のおいしい水」の誕生物語(こや)

「カレーに合う水として開発された」という「伝説」とともに、この水は高度資本主義社会への誘い水として、わが国の経済史にも永く留められるであろう。

日本のブランド(羊)シリーズ
その4:大丸のお客様第一主義
その3:1粒300メートル
その2:越後屋のクロスメディア戦略
その1:山高印


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投稿者 CMO
 
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